Under the Microscope

　読書の好みというのは年輪を重ねるに従って変わるものらしい。 　中学生のころは独文一辺倒で、学校の図書室でカフカやマンの全集を片端から読んでいた。高校にあがるとプーシキン、ドストエフスキー、チェーホフといった露文に遷り、シュライエルマッハ...

　如是閑の自傳に、女中奉公に出ていた祖母が殿様からよく「蓮酒」を飲まされた、という話が出てくる。「蓮酒」とは、蓮の葉を茎ごと取ってきて葉に酒を注ぎ、茎に口をつけて吸う遊びである。そのままでは葉に酒が貯まるだけであるから、葉に孔を空けて茎...

　あるとき、殿さまが家臣をお集めになりました。その手には薩摩芋が一本握られております。 「そなたたち、これを見てなんと思う」 　家臣は口々に「薩摩芋でございます」と答えましたが、殿さまはなにやら不満げなご様子。 「名など聞いているのではない...

　むかし光栄三國志の攻略本に「劉備・関羽・張飛の贋者で新勢力を作り、どちらが本物か争う」なんていう趣向のリプレイがあった。たしかIIのころではなかったか。「あいつらこそニセ者だ」と贋者の方が筋違いの闘志を燃やしているあたりがおもしろかった...

　　旅人なればこそ　　小柴がくれに茜さす　　いとしき嫁菜つくつくし　　摘まんとしつつ　　吐息つく 　　まだ春浅くして　　あたま哀しきつくつくし　　指はいためど　一心に土を掘る 　本棚から詩集をとりあげて眺めていたら、祖父母の家でつくしを食...

　四十を幾つかこえたので、日日の読書を記録しておく場所を作ろうと思った。 　今はもうフルスクラッチでHTMLを書いて"W3C HTML 4.01 valid"のバナーを貼りつけるような時代ではない。プラットフォームの多様化は既に人力による最適化の努力が及ぶ領域を...