Weekly Review 20250407

Ornithine carbamoyltransferase (OTC) deficiency

  • OTC欠損症患者の肝組織において、OTC免疫組織化学がモザイク状の陽性像を呈した理由
    • OTC欠損症はX連鎖性疾患
    • ヘテロ接合女性におけるX染色体不活性化 (lyonization)が原因
    • ヘテロ接合女性では2本のX染色体を持ち、そのうち1本に変異が存在する。
    • ランダムなX染色体不活性化により、一部の肝細胞では正常なOTC遺伝子が発現し、他の肝細胞では変異遺伝子が発現するため、酵素活性にモザイク状のパターンが生じる。
    • この不均一性に門脈域-中心静脈域といった明確な配向性はない
  • https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29623395/
    • X染色体不活性化の肝内ばらつきは顕著であり、単一の肝生検ではOTC活性の全体像を反映しない可能性が高い
    • OTC活性の閾値(おおよそ30%未満)を下回ると、代謝的安定性が維持できず高アンモニア血症を発症しやすい
    • OTC免疫染色はOTCDの病態を可視化できる有用な手段だが、変異によっては抗体との反応性が低く限界がある
      → 特にp.G195R変異では陰性肝細胞が明瞭に観察できるが、他の変異では不明瞭になることもある。
    • 中心静脈周囲のグルタミン合成酵素(GS)ゾーンの拡大は、OTCDに伴う代謝的アンモニア過剰に対する代償的反応を示している可能性がある
      → ただしGSタンパク量およびmRNA量自体は増加しておらず、組織分布の変化のみが生じている。
    • X染色体不活性化のモザイク性は発生初期のfounder cellsの数や細胞移動によって個人ごとに異なるパターンをとり、症状の多様性に寄与する

Metastatic MiNEN

  • 食道生検(H*******)は、ややN/C比が高くINSM1/synaptophysin(+)の領域と、定型的な扁平上皮癌でp40(+)の領域が存在。
  • H*******は前者の成分のみであった

Metachronous Micropapillary Adenocarcinomas of the Breast and Lung: A Case with a 14-Year Interval

  • H11***** Breast, right, mammotome biopsy: Invasive ductal carcinoma, micropapillary.
  • H25***** Lung, right lower lobectomy: Adenocarcinoma, micropapillary predominant.
  • ER等の免疫染色による検討を加えても良かったかもしれない
  • 遺伝子検査の結果待ち

Hemangioblastoma initially diagnosed as schwannoma

  • 臨床診断「脊髄髄内腫瘍」
    臨床所見「Th10.11レベルの硬膜内髄外腫瘍」
    不十分な依頼紙の見本

Secretory carcinoma of right parotid gland

  • 細胞診も揃ったのは初(C*******)だが、細胞診断は Warthin tumor だった
  • 分泌癌の細胞像:
    • 背景
      • PAS反応陽性の分泌物★
      • 炎症細胞は見られることもある★
    • 出現様式
      • 細胞密度が高い集塊
      • 乳頭状
      • 孤在性
    • 細胞の形態
      • 細胞内空胞または顆粒が見られる★
      • 円形〜卵円形の核を有し、核縁は平滑で核小体が明瞭。

Angiosarcoma arising in the context of chronic lymphedema (Stewart-Treves syndrome)

  • 子宮頸癌に対する子宮全摘・両側付属器切除・骨盤リンパ節郭清および放射線療法後に生じた長期間(20年間)にわたるリンパ浮腫を背景に生じた血管肉腫。
  • Stewart-Treves症候群
    • Fred W. Stewart (1894-1991) MSKCCの病理医
    • Norman T. Treves (1894-1964) MSKCCの外科医
    • 慢性リンパ浮腫を背景に発生する稀で侵襲性の高い血管肉腫(リンパ管肉腫)
    • 多くは乳房切除後のリンパ浮腫に関連して生じる
    • 先天性を含むその他の慢性続発性リンパ浮腫においても発生することがある
    • リンパ浮腫の発症から腫瘍発生まで平均14.9年
    • https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34196958/
    • 治療は手術が基本だが、予後は不良で5年生存率22.4%
    • https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34196958/
  • c-myc(+)
    • c-mycの過剰発現はVEGF依存性の血管新生を促進し、腫瘍の成長と生存に寄与する
    • ​慢性リンパ浮腫や放射線照射を背景とする血管肉腫ではc-mycの増幅が報告されている
    • 一方でそれら以外の原因による血管肉腫や放射線後の非典型的な血管病変ではc-myc遺伝子異常は通常認められない
    • https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23221487/

Lymph node, dissection: Metastatic small cell carcinoma

  • Small cell lung carcinoma と入れないと原発がどこか病理診断報告書から読み取れない

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